茨城大学では、オンライン国際教育プラットフォーム「JV-Campus」で、オンデマンド講義動画パッケージ「ASEAN地域における総合気候変動科学(Integrated Climate Change Science in the ASEAN Region)」を、2025年10月より提供していく予定です。
このパッケージは、文部科学省が世界展開力強化事業として進める「ASEAN諸国からの留学生受入、定着促進のためのシステム構築等支援」の一環で作成したものです。この事業は、留学生の受け入れから定着(就職等)の促進までの一貫したリクルート環境を整えるとともに、質の高い英語の教育コンテンツを提供する仕組みを整備することで、ASEAN諸国からの優秀な留学生の戦略的な獲得を目指すものです。
茨城大学では、長年取り組んでいた総合気候変動科学の教育?研究?社会実装の取り組みを軸に、英語による大学院生向けの授業科目コンテンツを用意しました。
茨城大学の総合気候変動科学の取り組みとASEAN
茨城大学では、大学設立の初期から湖沼を中心とした環境科学の教育?研究に取り組んできました。その後2006年には地球変動適応科学研究機関(ICAS)を設立し、学問領域を横断しながら持続可能な社会の実現を図るための「サステイナビリティ学」の教育?研究を組織的に進めてきました。ICASは2020年、広域水圏環境科学教育研究センター(CWES)と統合する形で、地球?地域環境共創機構(GLEC)に改組し、同年GLECは気候変動アクション環境大臣表彰も受賞しました。
ICASやGLECでは、気候変動対策のうち「適応策」に着目した研究を行い、特に東南アジアや南アジアの地域でフィールドワークや社会実装の活動を重ねてきました。それらの活動が基盤となって、ベトナムの日越大学(VJU)では、2018年に開設された大学院気候変動?開発プログラム(MCCD)の幹事校を茨城大学が担当することとなりました。また、農学部?農学研究科を中心にインドネシアやタイの大学とのダブルディグリー制度もさかんに活用されるなど、ASEAN諸国との関係を強化してきました。
世界展開力強化事業と気候変動専門科目
茨城大学では、大学院の研究科を横断する形でサステイナビリティ学教育プログラム(GPSS)を開講しています。これまでは7つの基盤科目と3つのコア科目で構成されていましたが、このほどこのプログラムに英語による5つの大学院共通重点科目(気候変動専門科目)を新たに加えることとなりました。この新たな5科目は、「JV-Campus」を利用して2025年10月より提供する予定です。これらの科目については、茨城大学の学生はもちろんのこと、ASEAN地域の協定大学の学生、さらには気候変動に関心のある幅広い学生が受講することができるようになります。各科目約15分の動画が45本あります。
JV-Campusで提供する気候変動専門科目
- Climate change and sustainability science (気候変動とサステイナビリティ学)
- Changing atmosphere and climate change (変動する大気と気候変動)
- Mitigation strategy for climate change (気候変動の緩和戦略)
- Adaptation strategy to climate change (気候変動の適応戦略)
- Climate policy, SDGs and social resilience (気候政策、SDGsと社会のレジリエンス)